黄砂バイオエアロゾル
黄砂とは?
黄砂とは、ゴビ砂漠など、北東アジアの乾燥地域で巻き上げられた黄色い砂が偏西風に乗って中国東部、朝鮮半島、日本まで飛来する現象、またはその黄色い砂のことです。
日本には2月から5月の4ヶ月間に多く飛来して景色が黄色く見えたりします。
近年、日本に飛来する黄砂は増えていますが、その原因は中国西部の乱開発で砂漠化が進んでいることが一因と考えられています。
黄砂バイオエアロゾルとは?
黄砂バイオエアロゾルとは、黄砂に付着したり、引き寄せられたりして黄砂と共に空気中を移動したり浮遊している微生物や細菌などのことです。
- 黄砂エアロゾル
- 大気エアロゾル
- 有機エアロゾル
などの様々な別名や同義語があります。
環境や動物、人間に影響が無い微生物ならいいのですが、有害な微生物や細菌があるのではないかと最近、研究されています。
飛来する微生物や病原菌で健康被害は?
黄砂バイオエアロゾルで日本に飛来している微生物や病原菌として、
- セレウス菌(Bacillus cereus)(食中毒の原因になる菌。)
- ビルカンデラ菌(アレルギー性鼻炎の原因になる菌。)
- バチルスプミルス(Bacillus pumilus)(桃やスモモを枯らせる病原菌。人や動物が食べると食中毒になる。)
などが見つかっています。
しかし、実際の健康被害などがあるかというと、そこまでは未だ分かっていないそうです。
黄砂バイオエアロゾルの研究は、まだ始まったばかりなので今後の進展が期待されます。
黄砂バイオエアロゾルについては、家畜への影響も心配されています。
例えば、2010年(平成22年)3月26日頃から宮崎県で口蹄疫が発生しました。
牛や豚を殺処分するために行政だけでは間に合わず自衛隊が出動して、最終的に約29万頭の牛や豚を殺処分してようやく治まりました。
当時の東国原知事が対応している様子などが大きなニュースになりましたね。
この時の口蹄疫について原因は色々言われていますが、九州大学農学部の真木太一名誉教授は、3月14日に中国の甘粛省で感染力の強い豚口蹄疫が発生していたことなどから、この口蹄疫のウィルスが黄砂バイオエアロゾルとして宮崎に飛来したのではないかと推測しています。
黄砂情報
黄砂の情報は、気象庁、日本気象協会、WNI(ウェザーニュース)、SPRINTARSなどのサイトで見ることができます。
気象庁
国土交通省所管の国の機関です。気象、地象(地震、火山など)の観測、予報などを行っています。
黄砂情報のページでは、動画表示の [開始] ボタンを押すことで黄砂の動きが動画で見ることができます。また、 [停止] ボタンで動画を止めることができます。
動画の種類は、
- 現在時刻から3日先まで(6時間ごと)
- 昨日から明日まで(3時間ごと)
の2種類から選択できます。
さらに画面の上の方に [領域] 選択欄があり、
- 日本域
- アジア域
を選択できます。アジア域を選択すると、中国西部から日本までの黄砂の動きを見ることができます。
日本気象協会
国土交通省の外郭団体の一般財団法人で、気象庁の情報の配信、提供、詳細な解説などを行っています。
黄砂の動画は気象庁よりシンプルで機能も少ないですが、その分操作が簡単です。
また、画面を下にスクロールすると地方別の黄砂情報があり、「北海道地方」、「東北地方」などをクリックすると各地区毎の拡大図で動画を見ることができます。
さらに都道府県別の予報も見ることができますが、こちらは動画ではなく都道府県内を2~4つの地区に分けた「ほぼ無」「少ない」「 やや多」「多い」「非常に多い」の5段階の表示になります。例えば神奈川県は「東部(横浜)」「西部(小田原)」の2地区に細分化されています。

WNI(ウェザーニュース)
日本の民間気象情報会社で世界最大の民間気象情報会社でもあります。
黄砂の動画は会員は24時間後まで、非会員は12時間後まで見ることができます。日本地図をドラッグすることで見たい位置を動かして見たり、マウススクロールなどで地図を拡大して見ることができます。
アプリなら3日先までの予報も見れます。

SPRINTARS
九州大学が中心になって開発している地球規模の気候変動および大気汚染の状況を予測するためのコンピューターシステムです。黄砂の予想を公開しています。
今日、明日の予報や週間予報を北海道、東北北部、東北南部などの地域毎に「少ない」「 やや多い」「多い」「非常に多い」の4段階で表示しています。
動画では、1週間の予想を「東アジア」「アジア広域」で切り替えて見ることができます。「東アジア」では中国中部から日本、「アジア広域」では中近東から日本までの黄砂の流れを見ることができます。
おしまいに
黄砂というと、洗濯物が汚れたり、喉が痛くなったりなどの被害の話はよく聞きますが、病原菌まで運んでいるとは驚きですね。
黄砂が増えているのは砂漠化が大きな原因の一つなので、乱開発を止めて持続可能な開発や植林などが望まれます。
黄砂情報は、気象庁、日本気象協会、WNI(ウェザーニュース)、SPRINTARSなどのサイトで見ることができます。
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